ミュージカル、意外とスリリングなセーフティーの話

「MUSICAL、 AL取ったら“MUSIC”」楽譜が命綱なのよ。わかる?

“セーフティー(Safety)”

あなたはこの言葉から何を連想しますか?

 

セーフティーネット、セーフティバント、セーフティーボックス…etc.

 

ミュージカル作品の譜読みを進める際の要チェックポイントに、「“セーフティー”の確認」があるの、知ってました?

今日はこの“セーフティー”についてのお話を。

ミュージカルのスコア(譜面)には仕掛けがいっぱい

さて、ミュージカル作品の譜読みで出てくる“セーフティー”とは・・・


これ。

とある作品中の、とあるナンバーの、とある小節(数小節のこともあれば、1小節だけのこともある)を、芝居の流れを止めないために繰り返し(リピート)演奏をすることは、よくあることなのです。

客席から観てるとなんてことなく、自然かつ劇的に進行していくわけですが、意外と複雑で細かいことしてるんです、実はね。

いわゆる、BGMと呼ばれる扱いに近いわけですが、ミュージカルなので、これまたとあるセリフをキッカケにリピートから抜け出て先に進まないことには、物語がエンディングを迎えられません。

 

つまり、音楽が足りなくなっても困るし、音楽だけ先に行っちゃっても困るので、“セーフティー”ゾーンを設けるわけです。

 

他にも、譜面上に“Xタイム”なんて、まるでクイズ番組みたいな呼び方をする表記の仕方もあり、このパターンを我々は「Xタイムでバンプ抜け」なんて言ったりします。


Xタイム=「何回リピートするかわかんないからね!」的な?

演奏がバンドの場合はバンマス(バンドマスター)の合図でセーフティー、Xタイムから抜け出るのです。

多くの場合はピアノコンダクター(ピアノ弾きながらテンポやキッカケをバンド・メンバーに伝える)がその責任を負うので、楽譜だけじゃなく、台本の流れもちゃんと頭に(体に)入ってないと務まりません。

 

オケ(オーケストラ)の場合には、コンダクター(指揮者)がその役割を担います。

台本と楽譜上でキッカケを確認しつつ、舞台上の役者の芝居や歌をしっかりと追いつつ、場合によっては装置の転換まで目で追いながら、オーケストラのメンバーに「そろそろ抜けるよ」「それ、今だ!」とキューを出すという職人さんの技を発揮するわけですから、ミュージカルのコンダクターというのは本当に大変な仕事です。


「え〜っと、ここはXタイムだから…」


「もうすぐバンプ抜けるよ、ちゃんと見ててよ。間もなく!」

とまぁ、こんな感じですかね。

 

一方で、舞台上の役者もまさかコンダクターをガン見してるわけにはいきません。

相手役の目をしっかりと見つめながら、コンダクターの指揮とキューもちゃんと視界におさめ、肌で感じつつ役を生きるという、意外と神業に近いことをやってのけてたりします。

ほんのちょっとテンポが早いだけで、昨日までその小節におさまっていた台詞が入り切らなかったり、

ちょっとしたトラブルが原因で舞台装置の転換がいつもの小節内で終わらなかったり、

うっかり役者が出とちって・・・考えなたくないパターンだな、これは。

舞台上は心臓に良くないことがいっぱいです。(汗)

ミュージカルのセーフティー・ゾーンは、意外といつもスリリング。

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