「喜劇で一番難しい役は愚か者の役であり、それを演ずる役者は愚か者ではない。」ミゲル・デ・セルバンテス
役者を目指すあなたにめちゃくちゃおすすめの本があります。
それは、芦田愛菜さんの「まなの本棚」。
芦田愛菜さんと言えば、子役から活躍する一方で、小学生時代に読書量が年間60冊を超え、中学生時代には年間100冊以上を継続的に読み続けているというほどの読書家としても知られています。
「まなの本棚」は、そんな彼女が子供の頃からこれまでの愛読書、約100冊を紹介する本です。

この本、役者を目指す10代20代の人たちにとって、最強の一冊です。
なんと言っても役者にとって必要なのは、台本から読み取る力ですからね。
今回はそんな芦田愛菜さんの「まなの本棚」のプロローグの中から、ほんの一部を紹介します!
自分の想像力物語の世界を作り上げていく楽しさ
周囲の人から「なんで、そんなに本が好きなのか?」と訊かれた彼女が自分なりに考えて出した答えは二つ。
そのうちの一つが、本の活字から自分の想像で物語の世界を作り上げる楽しさ。
本は(マンガや映画と違って)絵や映像そのままを見せてくれるわけではないので、決まったものを与えられるだけでなく、自由に考える余地があることが楽しいと語っています。
この、受け身じゃなく、自発的に想像することの楽しさを知っていることが何より重要ですね。
さらに、この後の彼女の意見の中にものすごく重要なエッセンスが詰まっています。
そしてもう一つ、私は「自分とは違う誰かの人生や心の中を知ること」に、すごく興味があるんだと思います。
これです。
自分とは違う誰かの人生や心の中を知ることに興味がある
さらには(このことについて)こんな風に具体的に話しています。
私一人の人生だけでは経験できないことや、自分では考えもつかないような発想が本の中には詰まっています。だから本を読むたびに、「こんなふうに考える人もいるんだな」「こういう世界もあるんだな」と、発見があるんです!
人間って、基本自分のことに一番興味があります。
特に人前に出ることを仕事にしたいと考えるような人は、「自分はこう思う」とか、「自分はそうは思わない」とか、要するに自分軸で「自分のことをたくさんの人に知ってもらいたい」「わかって欲しい」っていう欲求が強いです。
僕自身は、コンプレックスの裏返しで、芝居や役者に惹かれる人も多いに違いないと思ってます。
ところが、実は役者として役を演じる、誰かの人生を生きるというのは、それとは真逆のところに身を置く必要があったりします。
私は小さい頃からお芝居のお仕事をしていて毎回いろんな作品に出演させていただいているのですが、自分とは違う誰かの人生を知って感じることができるのは、大きな喜びです。
もしかしたら、お芝居で誰かの人生を演じることと、本を読むということは、自分以外の誰かの考え方や人生を知る「擬似体験」という意味で、とても近いものなんじゃないでしょうか。だから、私は本を読むことが好きだし、お芝居することが好きなのかもしれません。
自分以外の誰かの人生を知って、感じることで喜びを得られるようになるためには、ある一定のところまで(自分が)精神的に満たされている必要があるはずです。
少し難しい表現になりますが、人間というものに対して抽象度が高く捉えられないと、こういう考え方はなかなかできないものなのです。
(いきなり壮大な話にまで広がってしまいますが、ガンジーやマザー・テレサが偉大なのは、そういう点です。)
自分自身の経験で言えば、劇団に入ったばかりの頃、演出家から
「劇場(演劇)っていうのはカタルシスなんだ。人間、毎日生きてると段々と澱みたいなものが溜まっていく。それが、劇場って場所を通って行くとその澱が取れてきれいになって出ていくんだ。」
と聞かされた記憶があります。
少し経ってからやっと自分なりに「役者ってのは、浄水器のフィルターみたいなものかな。」と考えたものでした。

さて、そんな芦田愛菜さんが本好きなのを知っている周りの方たちから、
「愛菜ちゃんのおすすめの本は何?」
と聞かれるたびにいつも悩んでしまう、とも語っています。
人それぞれの見方や考え方があるので、私にとって感動的な本だったとしても、それが他の人の心にものすごく響くとは限らないかもしれません。「この本の主人公の気持ちに今の私はすっごく共感できてよかったけど、誰にでもそうとは限らないかも…」ってものすごく考えてしまうんです。
コメントを残す