ボイストレーナーが考える英語発音上達のコツ

「言葉は耳から頭へいくが、声は耳から胸にくる。」小田島雄志

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音声としての言葉は母音と子音からできています。

さらに、いわゆる声質として人の耳に捉えられるのは、そのうちの母音の音質、音色です。

ということで、今回はボイストレーナーの目から(耳から?)見た英語発音上達のコツを。

駅前留学で知った英語発声のコツ

かつて、ミュージカルの舞台に立っていた頃、初めてニューヨークに行った。

当時はとにかく円高で、かなりのお手頃価格でランクの高いホテルに泊まれた。

なので、こんなちんけな日本人でも、ホテルのスタッフは非常に丁寧に接してくれた。

きっとかなりお粗末な英語だったに違いないのだけど、ホテルにいる限り、

「お、俺の英語、意外と通じるな。」

と勘違いせざるを得ないほどだった。

 

ところが、だ。

ファスト・フードで注文した時に、おそらくバイトだろうという感じの女の子がこちらも見ずに早口で何か訊いた。

全く聞き取れず、しばし呆然としているボクの顔を見て、彼女は肩をすくめ、大きな溜め息を一つついた。

日本に戻ったその足で、駅前留学に向かった…。

マダムvs商社マン

昼間の時間帯にレッスンに通ったので、一緒に英会話を学ぶのは奥様方か引退した商社マンみたいな男性が多かった。

自分のことを棚に上げて言わせてもらえば、どちらも発音はかなりひどい人が多かった。

リタイアした商社マンみたいな男性で、やたらと小難しい単語を使いたがる人がいたが、その人の発音が良いかといえば、そうでもない場合が多かったのは、何故なんだろう…?

年配の奥様の中には、小森のおばちゃまみたいに小刻みに浅い息つぎをしながら、まるで口からカタカナを吐き出してるかのような人も少なからずいらした。

英単語の知識をひけらかしてマウントを取ろうとする年配のおじ様と、そのことには全く気付かずあくまでマイペースにのんびりと、延々と自分のことを話し続けるおば様の噛み合わなさは、昼下がりの外人講師のやる気を奪うには十分だった。

そんな駅前留学の日々、自分の興味はむしろネイティヴ講師と我々日本人の発声の違いに向かっていた。

駅前留学で英語を学んでいるというより、発声について学んでいたのかもというぐらい、いろんな発見があって面白かった。

横隔膜は神の座するところ

まず結論から言えば、母音の発声の仕方が決定的に違う。

例えば、“I am”と発音する時、件のマダムや元商社マンは、小刻みに胸に浅い息を吸い込んで口を開けてからAの音を発する。

ところが、ネイティヴの講師はと言えば、先に半開きにしたような口から横隔膜で活性化したかのような息に押されてAの音が発せられる。

横隔膜。イタリア語でdiaframma(ディアフランマ…※ラにアクセント)と言うんだけれど、当時は英語で何というのか知らず、レッスン中に自分なりの横隔膜発声による英語発音の違いを発見した喜びを英語にしようとして、それを察した講師が教えてくれた。

diaphragm(ダイアフラム…※ダにアクセント)

「なんだよ、ほとんど同じじゃん、ずるいよ、君たち。」

と、誰に言ってるんだかよくわからない悪態を心の底でつきながら、発見したばかりの英語発声の極意を熱く語ったことは今でも妙に覚えている。

声が良ければ説得力に差が出る

芝居の世界では、良い役者の素養として「一声、二顔、三姿」と言い方をする。
つまり、1番大事なのが「声」で、2番目に「顔」、3番目が「姿」という意味。

ボイストレーナーの立場から言わせてもらえば、英語の発音に関しても、

まずは声、それも母音にフォーカスするのが得策。

いかに横隔膜を発声のパートナーとして迎え入れ、深い呼吸で母音を響かせるか。

まずは音として魅力のある声を作り上げれば、それだけでも見違える(聞き違える?)ような英語の響きに変わること間違いなし。

 

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