発声の仕組み(メカニズム)を知ると上達が早くなるわけ

「離見の見にて見るところは見所同心の見なり」世阿弥

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人前で話すこと、歌うこと、特にそれを生業としていこうとする場合、いわゆる発声法についてはそのキャリアのどこかで真剣に取り組むべきタイミングが来ると思うんです。

練習、稽古、レッスン、言葉はさまざまあれど、要するにトレーニングの初期段階では「今よりうまくなるため」に取り組んでいたものが、段々と「上手いのは当たり前。そのレベルを心身のコンディションがどんな時でもキープするため」に取り組むものに変わっていくタイミングがきます。

そこで重要になるのが、“離見の見”を持てるかどうか。

言い方を変えると、客観性。associateの状態からdisassociateの状態に変化できるか、ということです。

人前で声を出す(プレゼンする、MCをする、演じる、歌う)ことは、普段の生活の中での声の使い方といろんな条件が違うので、当然そこでなんらかの手を打っておかないといけないんですが、意外と普段の延長線上で解決しよう(できる)と思ってる人が多いです。

ただ、声を出すことはスポーツ全般と違って目に見えない要素が圧倒的に多いので、例えばそこで「声の出し方について、何か学ぶべきことがある」と気が付いたとしても、思った以上に時間がかかったりもします。

そこで、「発声の仕組み(メカニズム)」について知っておくことは、

  1. 客観性を持つ手段になる
  2. 学習の効率を上げる(時間の短縮に繋がる)

という利点があるんです。

発声の仕組み(メカニズム)の基礎の基礎

発声については、正直、指導者、トレーナー、コーチ、呼び名はそれぞれ、そのメソッドも様々です。

ある先生は「呼吸が何より重要だ」と言い、「ファルセットだ」「ベルティングだ」「ミックスだ」「鼻腔共鳴がカギだ」と、いったいどれを信じれば良いのか・・・と迷子になる生徒さんも少なくないはずです。

 

ここでまず知っておくべきこと、もっとも重要なことは・・・

「声が出る(声を出す)仕組み(メカニズム)は我々が想像する以上に複雑で繊細で、メンタルにも左右されやすい。」

ということ。

“発声に関わる複数の要素が良いタイミングで良いバランスで働いたときに望む結果が得られる”

と考えるべきです。

 

その上で、発声の仕組み(流れ)をごくごくシンプルな形で表現すると

 共鳴

 声帯振動

横隔膜対抗運動

呼気

こんな感じになります。

この一連の運動、流れが①良いタイミングで②良いバランスで働いているかどうかが、トレーニングを進める際にチェックすべき点なのです。

(ちなみに、音大の声楽科のようなところで勉強すると、いわゆる「音声(生理)学」のような科目で、こうした発声・発音に関する基礎的な知識を学びます。)

 

各要素について説明しておくと、

呼気については、いわゆる呼吸の吐く息のことと思ってもらえば良いです。

横隔膜の対抗運動というのは、俗に言う“腹式呼吸”。

声帯振動は、音程や裏声・地声・ミックス・ベルティングなどに関する部分。

共鳴は、クラシカルとかポップスとか、あとトゥワング(音楽だとカントリーウエスタンに代表されるような声のトーン、英語だとアメリカの南部訛りとか、オーストラリアン・トゥワングなんて呼び方もするようです。)のような音色、声色、声のトーンについての要素。

こうした要素が、①良いタイミングで②良いバランスで働けるかどうか、に結果が左右されるということになります。

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「まず聴く、そして知る」

最近特に思うことなんですが、上で説明したような「発声の仕組み(メカニズム)」に関する知識を詰め込んだからと言って、もちろん、魔法のように声が出るようになったり、歌が上手くなるわけではありません。

ただ、目で見ることのできない声の成り立ちを

  1. 知識を裏付けに具体的に想像して
  2. 客観的に捉えること

ができるようになります。

その結果、トレーニングの効率を上げ、そこで費やす時間を短縮すること

が実現できます。

こうした土台となる知識が乏しいトレーナー、コーチから指導を受けた場合、その人の経験則オンリーでのレッスンとなるので(個人的には、それは“トレーニング”とは呼びにくいと思ってます。)、その場ではできるようになるんですが、その指導者のエネルギー下から離れた途端、同じ結果が出せなくなるケースが多いです。

それは「ホメオスタシスはその場にいる、ホメオスタシスの強い人に同調するから」です。
(このことは、今回の記事のテーマから離れるので、ここでは敢えて細かく触れません。)

自分の中にイメージした音(声)を現実のものとするために、発声の仕組み(メカニズム)についての知識と聴く耳を持ったトレーナー、コーチの下で、自分自身も最低限の知識は身につけた上でトレーニングに取り組めば、試行錯誤の質が変わりますし、ブレが少なくなります。

是非、発声の仕組み(メカニズム)について興味を持って学んでみて下さい!

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