呼吸と時間、人生との関係性

呼吸をコントロールすることは、ある意味人生をコントロールすること

先日、「ミュージカル虎の穴1dayスペシャルセミナー」と題して、自分がかつて学び、現役時代、そして歌唱指導者としてのキャリアの中で一番の土台としてきたフレデリック・フースラーのメソッドを中心にした講座を開きました。

午前中が「呼吸」に特化した内容。午後が「アンザッツ」と呼ばれる共鳴と中心とした具体的な訓練方法。

この「呼吸」の部分に関しては、「呼吸塾」という名前で継続的に開催していく予定。

何故、「呼吸塾」なのかというといくつか理由があって、

  1. 時代の変化と共に、主にミュージカルの舞台要求される音色も変わり、海外からいろんなボイストレーニングのメソッドが入ってきているけれど、根本的なカラダのつくりが違う上に、世の中便利になり過ぎて我々のカラダが限りなく弱体化しているから。
  2. 英語で書かれているミュージカルが主流で、その音楽はその言語に寄り添って書かれているものなわけだから、その言語を同じような音色で発音できるようなボディーであるべきはずだから。
  3. そもそも、感情の振り幅が大きくなっている場面で歌われることがほとんどのミュージカル・ナンバーを歌う技術を、ある意味冷静かつ客観的にコントロールできるようにしようとするのだから、客観的な方法論が必要なはずだから。
  4. いわゆるレッスン室で歌のレッスンを受ける場合、発声の問題点と表現の問題と音楽的な基礎力の問題と、場合によっては受講者個人の性格面や精神状態が指導の対象として混然一体となるケースが少なくないから。
  5. 極論で言えば、「作業レベルに落とし込んだ訓練方法」でなければ、「繰り返し練習する」、しかもそれを自分でコントロールすること自体が困難だから。

あげればこの他にもまだまだ・・・だから「いくつか」じゃないかも知れない。

さらに言えば、呼吸は直接生命維持に関わるものであるにも関わらず、比較的誰にも意識に上げることができ、尚且つ意思に基づいて制御可能なものだから、ってのもある。

要は、

我々の体は鈍ってる。

故に、本来の姿を取り戻してやるべきである。

その為には、その機能回復訓練を反強制的にでも継続的に実施できる環境が必要だ。

で、その環境が「呼吸塾」だ。

ということですね。

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スポーツでも同じようなことが言えると思うのだけど、

「地味なトレーニングより試合の方が楽しい」

わけです。ほとんどの方にとって。

でも、ある程度のレベル以上に行こうと思ったら、基礎的な部分を洗い直して強化する必然性に迫られます。

歌も同じことで、

「地味なトレーニングよりマイク持って歌ってる方が楽しい」

んです。ほとんどの方にとって。

でも、ある程度のレベルまで行くと、頭打ちになる。

そこで問題意識を持てるかどうか、なんでしょう、きっと。

そこで「あれ?そもそも基礎がなってなかったんじゃね?」

と思えるか、

『今すぐ、誰も、簡単に』

自分を変えてくれる魔法のような斬新なメソッドを自分の外に追い求めるか。

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40年以上歌に関わってきて思うのは、フースラーのメソッド(アンザッツはその、ほんの一部に過ぎないと思うのだけど)は「自分の内側と向き合う」タイプのもので、決して外から何かを付け加えるタイプのものではないということ。

遠回りに思うような方法論なんだけど、最終的に「歌は心で歌うもの」を本当の意味で実現できる、その手助けをしてくれるものなんじゃないかと、最近思います。

もちろん、こんなこと知らなくても、やらなくても、いい歌を歌える人はたくさんいます。

でも、こんな方法があることを今まで知らない人もいて(特にミュージカル系で、最近の主流である“トゥワング”、“ベルティング”という語句に振り回されて五里霧中になってるような人)、こういうやり方を知ること、学ぶことで、扉が開く人もいることは間違いない。

何より、「呼吸」と「自分のカラダ」の関係性と、それをどう機能回復していくか学ぶことは、どんな先生の下で、どんなメソッドで学んでいても、絶対無駄にはならない、有益なことだってことが素晴らしいよね。

呼吸が変わると声が変わるし、声が変わると人とのコミュニケーションの質が変わる。

そのためのトレーニングを続けることは習慣を変えることだし、習慣が変わると人間何かが変わりだす。

結局、自分と向き合って呼吸が変化していくことって、人生そのものをゆっくりとではあるけれど、変化させていくことだとも思うわけです。

フレデリック・フースラー氏に心から感謝。

ボクにとっての歌声のバイブル。
フレデリック・フースラーの著書「Singen(うたうこと)」

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