前提から書きます。
今から書くことは、歌の上達の話であって、発声改善の話ではありません。
なので、
「この歌うたいたいけど、この高い音が出ません。どうすれば出るようになりますか?」
という段階の方には、今回の記事はあまり役に立ちません。おそらく。
悪しからず。
発声=機能訓練ではなく、音楽を奏でる上での話です。
次に、楽譜が全く読めない方には向いていないです。
では、始めます。
<用意するもの>
・あなたが上手くなりたいと思う曲の譜面のコピー(いろいろ書き込んで支障のないもの)
・ラインマーカー数色(ピンク、ブルー、イエローまたはオレンジ、ぐらい?)
・飲み終わって、洗った後に水を満たしたペットボトルを最低2本
歌は声、声は音、音は息で生まれる振動です。
なので、まずは「ワンブレスで歌おうとするフレーズ」に次の3つのポイントがあると考えます。
1.そのフレーズを歌い出す前のブレス
2.そのフレーズを歌っている間の息の流れ(流出)
3.そのフレーズを歌い終わり、次のフレーズに移る際のブレス(=かなりの場合、次のフレーズを歌い出す前のブレス)
次にまず考えるのは、2.の「そのフレーズを歌っている間の息の流れ」
今、あなたの目の前にある楽譜上の音符(ほとんどの場合、印刷されたものだと思いますが)は、例えば地図上に示してある通過地点の目印でしかなく、その間をどんな風にクルマを走らせるかが、音楽です。
クラシック・バレエで言ったら、楽譜はバレエ教本の説明用の分解写真の1枚1枚で、5番ポジションと次の5番ポジションへのムーブメントが「グリッサード」です。
なので、あなたが歌おうとするそのフレーズが「どんな息で歌うべきフレーズか」、
1.マーカーを選び
2.音符と音符を線で繋いで
みるのです。
ここで重要なのは(この時点では)
「どんな息で歌いたいか」
ではなく、
「どんな息で歌うべきか」
を理解する、把握する、ということ。
つまり、
「その曲はどう書かれているものなのか」
をキチンと読み取れる必要があるということです。
音楽には時代ごと、ジャンルごと、スタイルごとの、ある種の“お約束”があります。
これは例えばバスケットやサッカーのセットプレーみたいなものです。
これをわかるためにはそれだけのインプットが必要です。質ももちろんですが、量をこなしていないとなかなかピンと来るようにはなりません。
その「こう歌うべきだよね」の流れをマーカーで表現してみるんです。
どのぐらいの太さ?
直線?曲線?
曲線だとしたらどんなカーブ?
そのフレーズは、
・どんな色の息で
・どんなラインを描きながら
描くようにかかれていますか?
そしたら次に、最初のフレーズを歌い出す前のブレスについて。
今、あなたが描いた線をワンブレスで歌うとして、それを用意したペットボトルから水を流し切ることで表現すると考えてみてください。
そのフレーズを歌うのにどのくらいの水が溜まっていればいいですか?
それだけの水が溜まる(溜める、じゃないところが意外と重要)のに、どのくらいの時間が要りますか?
例えば、ボーリングに行って、パーフェクトなストライクを狙う投げ方(プレパレーション、バック・スィング)と、レーンの端に残った1本を手堅く倒すための投げ方は明らかに違うはずです。そうですよね?
その距離と、目的に沿った準備が自然と生まれてくるはずです。
更に言えば、その
バック・スィング(歌で言えばブレス)と、
リリース(ボールが離れる瞬間=歌で言えばアインザッツ、起声)と、フォロー・スルー(ボールが離れた後の腕の振り=歌で言えばフレーズの後半や切り方)
の流れは一貫しています。
その流れが、最初にマーカーで描いたフレーズの、まさにメロディー・ラインです。
それを生み出すプレパレーションがどんなものであるべきかは、あなたがどんなラインを描こうとしているで導き出されるはずなんです。
最後にフレーズの切り方(=次のフレーズへのブレス)
例えば…
♪仰ぎ見て月を〜(V)思い出を辿り〜
※(V)は休符=ブレス
という歌詞があったとしたら、譜面上に
♪仰ぎ見て月を〜 「(V)思い出を辿り〜
とマーカーでカギカッコを入れるんです。
人間、「昨日ね、」のたったひと言でも、
1.なんてことない「昨日ね」と、
2.昨日あった信じられないほど嬉しい出来事を伝える「昨日ね♡」と、
3.この世の終わりかと思うほどの不幸に襲われたことを嘆く「昨日ね⤵︎」は、
最初の「き」を発音する前に、既に、明らかに違います。
呼吸が違います。
ということは、上に書いた
♪仰ぎ見て月を〜(V)思い出を辿り〜
の(V)が、前のフレーズで使った酸素の補給であって良いわけがないんです。
縦書きだっだら、(V)は改行後の一文字目にあるべきものなんですね。
人はそこで感情を表現しています。
人はそこで感情を受け取っています。読み取っています。共感しています。反感を抱いています。(笑)
だから「ブレスが大事」なんです。
「ロングトーンを歌えるようになるために呼吸が大事」なんじゃなく、
「高い声が出るようになるために呼吸が大事」なんじゃなく、
(もちろん、どちらのためにも技術的に重要なのは言うまでもありません、念のため。)
「(歌を通して)感情を共有するためにはとてつもなく重要」
だと、ボクは信じてます。
というわけで、
あなたの歌を劇的に上達させる(かも知れない)3つの方法
参考になれば嬉しいです。
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