「役者は言葉でできている」
これはかつて週刊ポストに連載されていた記事のタイトル。
(書籍化もされてます。)
もちろん、言葉。そして・・・リズム?
“ミュージカルを学ぶ”っていう視点で捉えると、大事なものは二つあると思っていて、その一つは「音楽」。
当然と言えば当然だけど。
なんたって、“MUSICAL”(英語での正式な表現はMUSICAL THEATRE)のAとLを取ったら、残りは“MUSIC”でできているのだ。
そして、もう一つが「英語」。
今、日本で上演されている人気ミュージカル作品のほとんどがアメリカ(ブロードウェイ)かイギリス(ウエストエンド)発のもの。
となれば、日本語に翻訳されている台本上の言葉、その原語は当然英語。
「英語を学ばずして、一体どうやってミュージカルと向き合うのか!」
という話なわけです。
ボクの英語学習が続かなかった最大の理由
自分自身のことを振り返ってみると、中学高校時代は当然英語の授業があったので、それなりに勉強していた。
英語は嫌いじゃなかった。でも、レベル的にはたいしてできるわけでもなかった。
そんな高校時代、アメリカからの交換留学生が担任の家に滞在したことがあった。
なんでそんなことになったかは忘れてしまったけど、ある日担任から
「お前、帰りの方向一緒だと思うから、悪いけど途中まで一緒に帰ってあげてくれない?」
と頼まれ、ケビンだったかロジャーだったか、今では名前さえ思い出せない彼と学校を出た。
全身からイヤな汗はとめどなく吹き出るが英語は全く出てこない・・・。
自分的には完全な敗北だった。
普段は15分かそこらの道のりが何時間にも感じた・・・。
その後、大学の声楽科で学ぶのは、イタリア語とドイツ語。
人によってはフランス語やロシア語を学ぶ人がいたけど、
声楽科は英語を履修しても卒業要件に認めてもらえなかった。
というわけで、ボクの英語学習は、
高校卒業とともに一旦幕を閉じた
のだった。
英語、二度目の敗北
年月が過ぎ、劇団に入って1年が過ぎた頃、運命のいたずらで劇団の諸先輩方にまじって、
借金までして、ロンドン・ミラノツアーに参加する羽目になった・・・。
(自慢にも何にもならないが、この時初めて飛行に乗った。
両隣りを大先輩に囲まれてのアンカレッジ経由のフライトは針のむしろのようだった。)
夜明け前、空から眺めるロンドンの町並みは、かつて観たディズニー映画のピーターパンに出てくる景色とおんなじだった。
着いてみてビックリした。
とにかく英語が聞き取れない。
話そうとしても単語が出てこない。

中学高校と6年間も勉強した英語より、次に訪れたミラノで(大学時代に勉強した)イタリア語の方が通じたことにかなり凹んだのを今でもハッキリ覚えている。
そして、英語、三度目の敗北
さらに年月が過ぎ、その時出演していたとある演目が一段落し、午前のレッスンを終えて渋谷に出かけたK君と二人、話の流れでお互いしばらくスケジュールが空いてることに気がつき、
「ニューヨーク、行ってみちゃう?」
とその場のノリでHISに行って、三日後ぐらいの出発を決めた。

K君は初めてのNYではなかったらしいけど、
空港からのタクシーでボラれた。
当時は円がめちゃめちゃ高かったので、かなりのクラスのホテルに泊まれた。
すると、ホテルではこんなチンケな日本人が妙な英語で話しかけても、
“Yes, Sir.” “Thank you, Sir.”
とめちゃめちゃ丁寧に対応してくれる。
(内心どう思ってたかは不明。)
ところが、街に出てファスト・フードの店で注文をして呆然とした。
英語が全く聴き取れない。
それに追い打ちをかけるように、ボクが英語を聴き取れていないことを察した彼女が肩をすくめて両手を広げた。
そして、ボクはついに決心した・・・駅前留学を。
翻訳ミュージカルの落とし穴
ショー・ビジネスは権利ビジネス
最近は、とにかくこれでもかという数の翻訳ミュージカルが上演されている。
ロングランが前提じゃない日本の場合、とにかく短い上演期間(当然、稽古期間もステキに短い)で次に次にいろんな作品が幕を開けて行く。
そうなると関わる方もよっぽど英語に堪能じゃない限り、原語台本や楽譜に目を通してチェックした上でじっくり稽古に取り組むなんてことはできないし、そもそも原語の資料は権利関係が複雑な海外作品の場合、一部のスタッフしか見ることができない。
逆に、ピアノ・ヴォーカルブックなんかが市販されているものは、(主要なナンバーに限られるけど)原語でどう書かれているかをチェックできたりする。
あとは、ネットで検索すると、原語のものが確認できたりする。
翻訳上演されるミュージカルの場合、演出・振付・舞台美術・衣装・照明・音響とオリジナルを踏襲する、つまり
版権元が一括管理しているものをパッケージで借り受けて全て同じように制作すること
が上演許可の大前提となっている場合が多い。
これは、例えて言えば、マクドナルドが
「どこの国でも同じロゴマークで同じオペレーションでハンバーガーを提供している」
のと同じことだ。
ただ、その国や地域に合わせて多少オリジナリティーのある商品を出したり、アレンジを加える場合も当然出てくる。
(ハーゲンダッツの抹茶なんてまさにそんな感じ。)
ミュージカルで言えば、原語ではなくその国の言葉に翻訳して上演するってことがこれに当たるんじゃなかろうか。
でも、衣装(やメイク)、登場人物の基本的な動きや振付、舞台装置なんかは本家と同じものになる。
するってぇと、ミュージカルの場合、動きはおんなじなのに、日本語では元の英語の全部を歌詞に盛り込めなかったり、場合によっては意訳を通り越して異訳(?)なんじゃないかと思うようなものも出てきたりする。
例えば、エマ・ワトソンが主演して実写版映画も話題になった、とあるミュージカル作品の中のナンバー。
これが原語版(日本語はボクの独自訳)↓↓↓
Yes, I made the choice
そうよ、これは私が選んだこと
For Papa, I will stay
パパのために、私がここに残る
But I don’t deserve to lose my freedom in this way
でも、私がこんな形で自由を奪われるなんて間違ってる
You monster!
怪物!If you think that what you’ve done is right
もし、あなたが自分のしたことが正しいと思ってるとしたら
Well then, you’re a fool
いいこと、あなたは愚か者よ
Think again
考え直しなさい
そして、こちらが翻訳上演版の同じ箇所
(現在、これと同じ歌詞で演じられているかは未確認)↓↓↓
決めたのよ
パパのために
私が残るの
この牢屋に そうよ恐ろしい怪物と 一緒に
仕方ないわ
・・・ミュージカルに関わる人は、必ず英語を学びましょう。
海外スタッフと仕事をしたけりゃ英語を学べ
ミュージカルで海外スタッフが来日して作品を作る場合、もちろん、現場には通訳さんがつきます。
ただね、演出家(もしくは振付師、または作曲家)→役者の間に通訳さんが入ったとしても、
彼らの直の言葉と声と表情から受け取れる情報量は計り知れない
のです。
だって、
あなたと同じ感性と同じスキルを持って同じ体調で彼らの言葉を受け止めることができるのは、あなたしかいないから。
現場レベルでの文化交流するには英語が必須
ボクの場合、これまでご一緒した海外スタッフは決して多くありません。
「スクルージ」振付・演出のチューダー・ディビスさん
「ネバゴナダンス」振付のノア・レイシーさん
「レ・ミゼラブル」演出のジョン・ケアードさん
「ハロー・ドーリー!」「ミー・アンド・マイガール」「ショウ・ボート」演出・振付のロジャー・カステヤーノさん
あとは「アニー」や「蜘蛛女のキス」や・・・いろんなオーディションで審査をし、アドバイスをくれた方々。
稽古中はもちろんだけれど、休憩時間に交わした言葉や、宿泊先のホテルの朝食でのちょっとした会話などで、
「あぁ、英語、もっと勉強しときゃ良かった・・・!」
と心の底から思ったことは一度や二度ではございません。。
駅前留学〜オンライン英会話へ
N○VAの英語で良かったところ
駅前留学して学んだ英語。
良かったところは、これは、何と言ってもいろんな国の講師がいたこと。

アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド・・・。
「あ〜、それってアメリカっぽい言い回しですね、イギリスではそうは言いません。」
「おっ、そういう時はね、こういう表現するといいよ。イギリス人は使わないけどね!」
「アメリカ人はこういう、イギリス人はこういう、カナダ人はこう言います。」
ニュージランド出身の講師の若者はボクが聴いてもわかるくらい、訛ってました・・・。
ここで学んだことは、
「これが絶対正しい英語だとか、綺麗な発音でなきゃいけないとか、気にしすぎない」
ってこと。

オンライン英会話って、どうなの?
その後、生活パターンが変わると、なかなか教室までコンスタントに足を運ぶというのが難しく、英会話からはすっかり遠のいた・・・
が、ある頃からずっと気なっていたのが、Skype(スカイプ)を使ったオンライン英会話。
英語を公用語としているフィリピンとのオンライン英会話が話題になったことで爆発的に人気が出たみたいで、とにかく安い。
しばらくは、
「英語はネイティブから習わないと。そんな訛ったような英語をお金払って習うなんて邪道だ。」
みたいな、いわゆるネガティブ・キャンペーンが展開されていたようだった。
でも、それってQBハウスみたいな¥1,000カットが流行り出した頃に、
「そんなところで使っているハサミやバリカンは衛生的に問題がある。」
みたいに理容美容組合(?)みたいな団体が中心になって世論的に圧力かけようとしてたのに近いものがあって、結局は消費者側が選べば自然に流れはできていくものなんだ。
アーリー・アダプターと言えば聞こえはいいけど、日本的に言えば新し物好きなところがあるボクは、フィリピンとのオンライン英会話を実際に試してみたくてウズウズしてたものです。
インターネットを使って海外とテレビ電話が、しかも無料(これはSkypeを使うことに関しての話。もちろんレッスン代はかかるけど)でできるというワクワク感と、自分の英語を自宅で居ながらにして試せるっていうドキドキ感に、「これは絶対みんなが使うに違いない。」と確信してた。
現に、最近はネットで検索するととてつもない数のオンラインの英会話スクールがヒットして、何を基準にどう選んだらいいのかわからないほど・・・。
ボクはたまたまフィリピンとSkypeでつなぐ子どものオンライン英会話に特化した会社がスタートした頃に、しばらく使い、たまに自分もレッスンを受けてみた。
当時、フィリピンはインターネット環境が不十分な部分もあったようで、たまに回線が不安定になったりはしてたけど、オンラインで英語を学ぶっていう目的からすれば、大した問題じゃなかったと思う。
とにかく、自分の好きなタイミングで自宅にいながらにして(というか、今ならスマホさえあればどこでだって)オンラインで英会話が勉強できる。
一日中稽古して家に帰ってからでも、本人のやる気さえあればオンラインで海外と英会話。
オンライン英会話を比較する時に大切なこと
まず重要なのは、
- 何のために英語を勉強するのか?
- どんな英語が必要なのか?
ってことをクリアーにしないと比較検討しようがないと思う。
「いつかは海外で。」
と思ってる人なんか、まずは英語力が絶対的に必要だしね。
オンライン英会話を比較する時に、
- 「どんな先生が教えてるか?」
- 「いくらかかるか?」
をまず考えると思うんだけど、先生に関しては、
国籍や出身大学や持ってる資格で講師を英語を教える能力を測って、他と差別化しようとしたところで、
自分にとって良い先生かそうじゃないかは別のところで決まる
と思う。
あと、ごくごく個人的な印象でしかないんですが・・・通学するタイプの英会話スクールは奥さんが日本人で、結果的に日本に住みついてて、英語教えてるって男性が多いような気がするのも、どこか引っかかる。
それだったら、今リアルタイムで英語圏に住んでる人と会話したほうがいろんな意味で刺激を受けられそうな気がするわけですよ。
それもフリーカンバセーションで。
だって、もし海外に行ったら実際英語を使ってそういう状況になるわけなんだから。

「いくらかかるか?」についても、まずは「どういう英語を目指してるのか?」が明確にならないと、費用対効果とでもいうのかな、そういうものも測りようがないのです。
月謝制だと現実的には厳しい人多いかも知れないですね。
時間的にも金銭的にも、勉強が続けられない時期ができると、人間どうしてもモチベーションが下がって、結局続かなくなるものです。
いい意味でマイペースに。
英会話でのロールプレイは最高の演技トレーニング?
テキスト使った英語のレッスンも、ロールプレイなんかはめちゃめちゃ演技のトレーニングになると思う。
初対面の人と面と向かって言葉交わすのって意外と勇気が必要だし、ましてやそれを英語でやろうとすれば、恥ずかしさもある。
その場で情景が描ける時には、何かしら英語が浮かぶのに、文字面だけ思い出そうとすると全く何も浮かんで来なかったりする。
あと、ミュージカルやってると日本人演じることの方が少ないくらいだから、こちらの発した言葉に対する相手のリアクションなんかものすごく発見が多い。
あと、これは自分の専門分野なんだけど、英語圏の人の声の出し方。
これはね、オンライン英会話じゃないとなかなかあの距離感では観察できません。

こんな距離や・・・

こんな距離で・・・

こんな風にコミュニケーションを取るからこそ、のオンライン英会話。
夢は大きく「ハリウッド進出」とか、海外の番組でインタビュー受けるとか、なんでも良いんです。大きな夢を描いたところから始めましょう。
オンライン英会話、どうすれば継続できるか?
「継続は力なり」じゃないけど、やっぱり
一番重要なのは“続けること”
ボクの場合、英会話に限らず「三日坊主でかまわない」と思ってます。
なので、やったりやらなかったりでいいじゃないですか?
カメラは引き(ロングショット)で。長〜い目で見ればそれも継続。
オンライン英会話、久しぶりにやってみた
ちなみに、最近、新しいオンライン英会話を試してみました。
最近は、企業や大学も英語教育のためにフィリピンを中心としたオンライン英会話を中心に、導入しているらしく、HPに導入企業や大学名を掲載してます。
そんな中、たまたま見つけたオンライン英会話のHPに、なんと自分の出身大学が・・・。

おぉ、東京藝術大学。
エイゴックスというオンライン英会話。
【エイゴックス】ネイティブ講師とのマンツーマン・レッスンが350円~
¥350!?・・・思わず、無料体験レッスンを申し込みました・・・。
メールアドレスとSkypeのIDであっという間に登録完了。
届いたメールに返信して、自分の簡単な情報(英語に関することや趣味など)を入力したら、早速(適当に)先生を選んでレッスン予約。
実際、オンラインで会話するまで先生の情報あんまり細かくチェックしてなかったんですが、何と大学で物理学を学ぼうと考えている若者でした。
かなり久しぶりのオンライン英会話でしたが、最近必要に迫られて洋書に向かう時間もあるためか、思ってたほどフリーズせずに25分間完走。
やっぱり三日坊主を続けなきゃいけません。
今回はフリートークを選んだので、レベルチェックもないし、発音を直されることも無く、ボキャブラリーを気にすることも無く、プレッシャーのほぼ皆無な状況で英語でのコミュニケーションを楽しめました。
いろんな国のいろんなタイプの人と「初めまして」から会話をスタートできるのもオンライン英会話の面白いところだし、もしかしたら最大の利点かも。
テキスト使って、毎回同じ先生とやる勉強の仕方だったら、テキストと音源(CDとか)や映像でも十分に勉強やれそうな気がする。
ただ、これまで知らない人と相対した時の緊張感とかはリアルタイムのコミュニケーションでないと経験不可能。
ここだよね、リルタイムのコミュニケーション。
オンラインでの英会話ていうのは、いろんな国や地域、性別、年齢など、ありとあらゆる条件を取っ払ったリアルタイムのコミュニケーションを可能にするわけで、これってよくよく考えるとものすごいことなんです。
とりあえず、一度無料体験レッスンを受けてみること、おすすめです。
世の中は、やってみないとわからないことだらけ。(笑)
「役者は一日にしてならず」
英語って、重要だとはわかっていても緊急じゃないから、ついつい後回しになりがち。
でも、緊急じゃないけど重要なことに今どれだけコンスタントに時間を割けるか
がこの先の勝負の結果をわけるのですよ。
考えるより先に行動するぐらいの人の方が、これからはきっと強いと思う今日この頃。
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