役者の下積み、バイトに明け暮れるのは当たり前?
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気がつけば、仕事としてミュージカルに関わり始めて、はや30年近い年月が過ぎ去っている・・・この事実・・・恐ろしい。
その間、運良く舞台出演のギャラだけで生活させていただいた時期もあれば、バイトしながら稽古場通いの期間ももちろんあった。
それ以前の声楽科学生時代から数えれば、けっこういろんなバイトをしてきた。
トンカツ屋のホール、割烹呑み屋の皿洗い、
着ぐるみとそれを撮影するカメラマン、
寿司屋の出前、
ピアノパブのカウンター、
おにぎり屋、
宅急便の仕分け作業、
ホテルの皿洗い・・・。
今、売れてる役者でも、
「かつては全然チャンスに恵まれずにバイト漬けの日々で、諦めかけたことが何度もある。」
なんてエピソードは、それこそ掃いて捨てるほどある。
舞台の稽古は1か月2ヶ月と長い期間に渡って続くので、稽古に入ればその間バイトは休まざるを得ない。
さらに、ミュージカルの舞台に立つ人間の場合、歌にダンスに、日常のトレーニングが欠かせないので、その時間とレッスン代も捻出する必要に迫られる。
いきおい、生活のためのバイトに追われ、だんだんとレッスンから足が遠のき、自然消滅的に舞台への夢も消え去っていくパターンがほとんどではなかろうか?
そもそも、よっぽどそうした役者の事情に理解があり、融通をきかせてくれるバイト先でない限りは、両立などできるわけもないのだけれど。
お金をもらえなくても歌う?踊る?
もし、これを読んでいるあなたが舞台を目指してる人や、舞台に立っている人で、
「そう、そう、そうだよね。」
と思っているとしたら、ここで一つ訊いてみたいみたいことがある。
「あなた、お金もらわないと歌いたくない(踊りたくない)ですか?」
これ、こう訊かれないと意外と意識しないものだけど、よっぽど特殊な環境で育ってきた人でない限り、スタート地点ではそれでお金稼ごう何と思っていなかったと思うんだよね。
例えば、ある時代にアメリカに生まれ育って、家庭が貧しくて、人種差別をされる環境にあって、スポーツ選手か芸能関係でないとそれをひっくり返せないようなケースは実際にあるとは思うのですよ。
でも、現代日本でそういうケースは滅多にないんじゃかな、と。
となれば、極論、
「プロじゃなくてもいいんじゃないの?」
まずは、ここ、もう一度自分の中でよ〜く振り返ってみる必要があると思うんだよね、原点を。
ノウハウ(Know How?)じゃなくて、ノウホワイ(Know Why?)。
なぜ演じたいのか?どうして歌いたいのか?なんのために踊りたいのか?
それを、ライフワークにしたいの?それともライスワークにしたいの?
答えなんか出なくてもかまわないと思うんだけど、でも、自分に問いかけてみることが必要なんだと思う。
お金に振り回されて、バイトに追われて、感覚が麻痺しちゃう前に、是非。初心に帰って。

時代は動いてるんだから、手段は何かあるはず。
自分はあるタイミングで自ら線を引いてそうした流れから身を引いてしまったけど、舞台に憧れる人たちと接して、そういう人たちを教える立場だから、「食える食えない」「ライフワーク、ワイスワーク」で何かずっとモヤモヤしている。(笑)
もし、ライフワークなんだとしたら、他に何か生活を成り立たせる手段があれば、それがレッスンや稽古に費やしたい人生の時間を確保できる可能性のある手段だとしたら、今やってるバイトすぐやめるかも知れないよね?
街中のスタジオで教えしながら、でも、やっぱり本当は自分が出たくて、心の奥底の何処かで、「コーラスライン」のキャシーみたいに、
「自分のやりたいことを誰かに教えて過ごすなんてまっぴらよ!」
って思いを抱きながら、暮らしてるとしたら・・・。
「役者の下積み、アルバイトに明け暮れるのは当たり前」じゃない時代になってるんじゃないのか?
何か、手段があるんじゃないのか?だって、時代はこれだけ動いてるんだから。
お金に振り回されずに生きれる方法があるんじゃないのか?

本当に好きなことなら、バイトしながらでも楽しく続けられる道はあるのだと思う。
途中で諦めて後で後悔するよりは。
ただ、その“バイト”である必要が本当にあるのだろうか?他に方法はないのだろうか?
・・・今頃になって、この歳になって、こんな事をよく考えています。(笑)
仕方ないよね、だって時代が変わり続けてるんだから。然るべきタイミングなんだな、きっと。
お金について、仕事について、学びながら、試しながら、探りながら、見つけたものは誰かに渡していきたいです。
もちろん、誰彼かまわず押し付けるんではなく、本当に必要としている人に。

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